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生物系研究者の独立して思うこと

アメリカから帰国し、日本で研究室を持つことになった。PIになって思うことを不定期に綴ろうと思う。

実験補助員、学生アルバイト

研究費が取れ、実験に必要なものも揃いつつあるので、次は如何に効率よく研究を遂行していくかを考えている。

やはり、人材が重要だと思っている。研究費は節約したいので、キットや調整済みの試薬、高価な詰め込まれたチップは購入せず、試薬は自前、純水装置は共通施設から汲んでくる、チップはバルクから詰めてからオートクレーブをしている。しかし研究に専念するためには、これらの作業をやってもらう人を雇うほうが効率が良いと思っている。ついでに実験器具の洗浄や、研究室の掃除なども。

アメリカでは大学が研究支援者を雇い、これらをやってもらっていた。日本では各研究室でやらなければならない。

そのため今回、フルタイムの実験補助員を募集をした。これらの雑用と、簡単な実験をやってもらうためだ。

しかし時期が悪かったようで、私の希望する能力を持つ人材は応募してこなかった。事務の方が言うには、新年度になれば人の動きがあるので、おそらく希望に沿う人が現れる可能性があるとのことだった。それか、我慢して応募した人(未経験者)を雇って、1から育てるかになる。

やはり生物、化学の知識がない人を育てるのは、仕事を増やすことになるので、4月まで待とうと考えている。その代わり、学生アルバイトを雇い、チップ詰め、試薬作りなどをやってもらうと思い、今日から学内の掲示板に張ってみた。

そしたら早速、医学部の学生さんが応募してきたので驚いている。時給も実験補助員の方のものよりかなり低く設定されている。しかも、保険や手当てもないはずである。唯一の利点は授業の合間でもできるように、1日1,2時間程度にしたことかもしれない。

とりあえず、これで優秀な実験補助員が応募してもらうまでの時間稼ぎができた感じである。来年度は、ポスドクも併せて募集しようと思っている。こちらも優秀な方が応募してくれることを願っている。

日本では研究費を書くときに、予算の配分を書かないといけないし、期限内に使い切らないといけないので、いつまでも優秀な人材が来るのを待っていられないのが難点だなあと思ってしまう。

そういえば、アメリカでは学生さんのアルバイト、無償ボランティアが多かったなあ。まあ、彼らは医学部、薬学部、歯学部への進学、生命科学系の大学院進学のために必要な経歴と、ボスからのすばらしい推薦状が欲しいからなんだけど。でも、大学全体を見ても、キャンパス内での学生アルバイトは沢山いたなあ。私個人の考えでは日本も学生バイトを利用して、社会生活の体験をさせても良いのではないかなっと思う。それと、コスト削減にも繋がるのではないかな。今回の学生アルバイトの掲示板を利用した公募は、事務に聞くとこのキャンパスでは初めてだったらしい。でも、今回でニーズは結構あるのではないかなっと思った。他の研究室の方も、事務系もやってみたらよいのではっと思う。結構、学生でもできる雑用ってどこでもあるっと思う。


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  1. 2012/11/30(金) 23:23:46|
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小さい研究室の苦労

独立して、自分の研究室を持つことになったのだが、当分の間は少人数のメンバーで研究を展開していくことになる。資金を集めることが最初の課題であることは前に話した。今回は何を買うかについて話したい。

私の考えは、共通機器であるものは便利になるからといっても自前では買わず、高価なものは共同研究を、そして本当に必要なものを厳選して買うことである。そして、研究費でなるべく人を雇いたいと思っている。

では、どのように節約をするかである。前回は値段交渉の手段としてまとめ買いをすることを述べた。少量を多数そろえるまとめ買いは、研究室の規模を考えると効率が良いと思っている。

また一つのものを大量にまとめて買う方法もある。これは多くの方がカタログを見れば気づくことだと思う。制限酵素、抗体、DNAポリメラーゼなどが典型例だと思う。5本まとめて購入すると1本分で買う場合に比べて、3割引き以上になる。ある抗体では、大容量のを選ぶと、容量あたり5分の1の値段になる場合もある。つまり8割引きである。

これだけ安くなると大容量を買ったほうがお得だと思う人が大半だと思う。しかし、これらは生もので、有効期間がある。アメリカで所属していた中規模のラボでも、有効期限が10年以上過ぎたレアな制限酵素が何本もあった。あるときから急にそれらを使う必要が無くなる場合がある。だから大容量で買うのはある意味、賭けかもしれない。例えば、改良され、より良い酵素が開発された。以前のものでは実験がうまくいかない場合もある。だからその以前の酵素を使う機会が減っていき、最終的にはまったく使わなくなったとか。こういう経験をした人もいるのではないかと思う。

私も最近あるエピトープタグに対する抗体を5本まとめて購入した。これは1本1ミリ入っているのだが、1本だと5万円、5本まとめると7万円だっと思う。この抗体をほぼ毎週使って実験しているので、5本まとめて購入をした。しかしよく出来た抗体で一回に使う量は節約して0.2マイクロである(これで綺麗な結果がでる)。だから365日毎日使っても、1本を使い切るのに約14年。5本で約70年! 実際はこんなに使わないので200年持つかもしれない。はっきり言って無駄遣いだったかもしれない。将来人数が増えて、もっと消費するだろうと思っている。しかし、それでも使い切れそうにないのなら、他の研究室と物々交換でもしようかと思っている。

有効期限はないが、化合物、試薬類も同様である。昔のラボを整理するとよく何十年ものの化合物が出てくる。どこの研究室も同じなのではないだろうか?

前から思っているのだが、こういうのを大学がまとめて購入して、少量に分注して、各研究室に売ればよいのではないかと思っている。大学も少しはマージンを取れるだろうし、各研究室はお金も節約できるし、それらを置くスペースも要らなくなるし、常に新しいものに更新できやすくなる。更に独立したての研究室にはありがたいシステムだと思う。

やはり日本のシステムは小さい研究室、独立したばかりの研究室にはやりずらいなあと思う。大きな研究室を少数作るより、小さい研究室を多数作ったほうが、研究が活性化するような気がしていたが、このままのシステムではせっかく独立しても、そのままこっそりと消滅してしまうラボも沢山ありそうだなあっと思ってしまう。

いろいろな実験をしたいのだが、それらを揃える資金もスペースも他のもので余計に使ってしまっているという感じ。もっと簡単にできないのかな。


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  1. 2012/11/26(月) 23:00:35|
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高い!

最近は実験をあまりせず、今年度中に使わないといけない予算で何を買うかを考えることに時間を費やしている。

研究室には揃えなくてはいけないものがまだ沢山あるのだが、やはり安く買うためには大人買い(まとめ買い)が一番よいみたいだ。

そこで今後研究の進展によって、更には様々なプロジェクトに共通して必要となるものをまとめて買おうと思っている。それは、

抗体と特殊修飾されたペプチドである。

抗体は40~50種類
ペプチドはおよそ60種類

どちらもアメリカの会社で売られおり、日本では代理店を通して購入することができる。

でも、日本で買うとかなり割高になってくる。

アメリカでは抗体は1つ、約$300
日本では約6万円

ペプチドは、平均してアメリカでは1本、約$200
日本では約4万円

1ドル=80円で計算すると、日本で購入するとアメリカの2.5倍!

このまま買うとあまりにも馬鹿馬鹿しいので、まとめ買い(大人買い)するから割引をしてくださいと交渉を始めている。

で、最近返ってきた答えが、3割引。抗体だと1本4万2千円。しかし、アメリカのまだ2倍。かなりがっかりしている。

日本円で考えると、抗体、ペプチドで合計150万円くらい差がある。これだけのお金が浮くのなら、やはりアメリカから個人輸入するしかないのだろうかっと思っている。

しかし、書類の和訳など、すべての手続きをしなければならない。ものすごく面倒くさそうだ。大学が海外から物を安く買うための専門の人を用意しても良いのではないかと思う。

それよりも、なんで業者さんと値段交渉をしないといけないのだろうか。もう、ネットで全てが買える時代なのだから、価格ドットコムみたいな研究専門の値段、商品比較できるサイトを作ってもらえないだろうか。ランク付けもあるとはずれを引かなくてよさそうである。

そうなると業者さんは失職し、地域の経済に少し悪影響かもしれないが、研究者の立場から見ると、研究時間を増やせるし、欲しいものを、安い値段で購入でき、すぐに配達されるので、実験を円滑に進めることができると思う。翌日、発送も当たり前になるのではないだろうか?

まあ研究費を経済に貢献している思えばいいのだけど、やはり研究内容で世界を驚かせたいなあ。毎日、くだらないことで疲れてます。




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  1. 2012/11/21(水) 23:45:28|
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定年

先日のNHKスペシャルの癌ワクチンを見た。

iPSと同じく日本が世界をリードをしているかもしれない分野である。しかし、その中心人物の中村祐輔教授は今年4月、アメリカのChicago大学に移ってしまった。

私は同じことが将来、山中教授にも起きるのではないかと危惧をしている。

ある先生が、山中先生のiPSの研究に研究予算が確約されたことに嘆いていた。他の研究に回る予算が減るのではないかということである。

しかし、山中先生には世界中(特にアメリカ)から給料も研究費も含めてより良いオファーがあるに違いないと思っている。しかし、敢えて研究の場を日本で行うことを選んでいる。テレビで見たインタビューでも強調していたが、オールジャパン体制にこだわっていると思う。母国愛なのだろうっと。

だから、日本政府はもっと山中先生を率いるiPSに予算を回すべきだと思うし、山中先生が理想とする研究体制を整えるべきだと思う。

しかし今は良いとしても、山中先生が65歳になる15年後はどうなるのだろうかっとも心配している。ある有名な先生は定年とともに海外の大学に研究室ごと引っこ抜かれてしまった。

研究者に定年は必要なのだろうか? 山中先生とノーベル賞を共同受賞したジョン・ガードン博士は79歳になるがまだ現役で研究室を運営している。

私は一律に研究者の定年を伸ばすべきだと言っているのではない。優秀な方には研究が一流である限り、現役でいるべきだと思う。逆に、二流研究者ならいいが、三流、四流研究者の教授は65歳前に研究の場から去るべきだと思っている。

ある先生が、あの教授は研究者としては?だが、あの分野の教育者として必要っと言われていた。だったら、研究と教育を分けて、教育専門の先生とすればよいと思う。

やはり講座制が良くないのかな。時代遅れの講座(名前だけは時代に合わせて変わっているけど)、何年(何十年)も変わっていない学部の古い授業(毎年同じ授業の繰り返し)、だから、三流、四流研究者が必要なんだろうなあと思ってしまう。

日本は人を生かすのではなく、形にはめる社会なんだっと。

結局、今日も愚痴ってしまった。



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  1. 2012/11/19(月) 23:55:34|
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日本版テニュアトラック制度

私が数年前に、日本で母校のあるイベントに講演した。もちろん恩師に招待され、旅費も払ってもらい、久しぶりの日本を満喫した。

私もその頃、仕事が一段落する見通しがつき、ぼちぼち探し始めようとしていたころだった。

そのときに、恩師に日本の状況について聞くことができた。その当時、新たに講座を作り、ポジションを作ることは難しくなっている。その代わり文部科学省は、テニュアトラックにシフトさせようとしていて、大学が資金を新たに獲得するためにはこれに乗るしかないとのことだった。

日本に帰ってきて、また不安定な職を得るよりは、最初から任期なしのポジションを獲得したほうが良いのではないかと思っていたので、そのように伝えたら、

日本ではテニュアトラックの職でさえ、沢山の応募者がいて、そこでかなりのセレクションをされて、勝ち抜いた人だから、そういう人たちなら余程のことがない限り、テニュアを取れるのではないかっと。

更に、文科省もモデルケースにしたいらしく、テニュア職の確保を大学に課していることも暗に言っていたような気がする。

そこで今日は日本版テニュアトラックの話をしたい。文部科学省は将来、3割をテニュアトラック制に移行する予定らしい。

そして現在、2期目のシステムになり、テニュアトラック制度のための大学への資金はだいぶ減った。一期目は文科省が主体で普及活動をし、資金を配布した。そして、一期目でそれなりにシステムの理解が進んだと判断し、今後は大学と文科省が両方が予算を工面する2期目に移行した。

2期目は機関選抜型と個人選抜型に分かれている。機関選抜型はテニュアトラックを行いたい大学(機関)を選らぶ。個人選抜型は、機関選抜型に選ばれた大学が採用したテニュアトラック教員の中から、文科省が主導となり優秀な者に更に資金を支援する。

機関選抜型で選ばれたテニュアトラック教員は、大体どこも1年目1000万円、2年目500万円の研究費を与えられる。

個人選抜型では更に、年1500万円、テニュアトラック教員の期間(5年を限度)に支給される。

私が知る限り、これらの費用は国から支給されるもので、大学は負担していないのではないかと思う。だが、大学はテニュアトラック教員の人件費、3年目以降の研究費を負担しないといけない。

この個人選抜型はこの国から支給される研究費から、テニュアトラック教員の人件費に当ててよいことになっている。つまり個人選抜型に選ばれれば、大学はテニュアトラック教員への給料を払わなくもよくなるため、特に財政基盤が弱い地方大学は、採用したテニュアトラック教員が個人選抜型に選ばれて欲しいと思うはずである。

この個人選抜型は去年から始まり、昨年は29人が推薦され、22人が選ばれた。去年は応募期間がかなり短かったため、かなり高い採用率になったらしい。そのため、今年は去年間に合わなかった人も併せて96人が推薦され、28人が選ばれた。一つ加えておくと、この制度は一度でも推薦されると、その人は次回へ推薦される資格はなくなってしまう。一度きりのチャンスなのである。そして、この個人選抜型はテニュアトラック期間のみに支援されるので、最初の1年目に応募し、最大限の支援を狙うのが自然であろう。だから、大学は初年度に推薦するはずである。

今年は採用率が去年と比べてかなり下がったが、それでもかなり高い率である。かなり優遇されているように思える。更に採用者を見ると、「さきがけ」ももらい、若手Aや、新学術領域の研究班にも選ばれている人もいた。

単純に計算すると、
機関選抜型のスタート支援研究費 1000万円
個人選抜型の研究費 1500万円
さきがけ 1000万円
その他の科研費など 約1000万円

っとざっと初年度に4000万円以上、もらっている人がいるということだ。もちろん、さきがけや若手Aなどのその他の大型の研究費を獲得していない人が多数であるが、彼らはこれらを応募することができ、獲得する可能性があるのである(また、テニュアトラック教員の研究費獲得率は高いと文科省のWEBページにも載っている)。

このようにテニュアトラックシステムは、資金面ではかなり優遇されていると思う。

残念ながら、個人選抜型の研究費は来年度から年1400万円に減らされることになるらしいが、それでもまだかなりの額である。

あくまでも私の推測なのだが、この個人選抜型は、文科省のほうで大学がコネで選んだ内部のテニュアトラック教員を排除(不採用)しているように思える。あくまでも外部から選んだ優秀な人材が個人選抜型に選ばれているような気がする。つまり、コネをなくし、外部から人材を真剣に選んだ大学には、その人材の人件費を文科省が負担する。更に、その人材への研究費も上乗せする。Win-Winの関係かも知れない。

私のこの推測が正しければ、日本版のテニュアトラック制度は、優秀な独立したい研究者のための制度になるかもしれない。また、海外から日本に直接独立したい研究者はこの方法が現在、もっとも現実的な方法だと思う。


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  1. 2012/11/14(水) 00:23:45|
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